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に伴って独居の高齢者が増えると考えられる。現実と理想の居住形態の間には、まだ乖離があるが、将来高齢者の教育程度の改善が進むにつれて、この乖離が縮まるものと思われる。また、同居の比率は下がる傾向にあるが、父母に会う頻度は増加しているので、家族の絆は薄れてはいない。経済的には子供に頼る率が高いが、この比率は教育程度と反比例し、将来、教育程度の向上に伴って、恩給に頼る比率が上昇するものと予測される。
台湾の高齢者は約3分の1がタバコを吸い、21%が酒を飲んでいる。また、5%あまりが檳榔(びんろう)の実を噛む習慣があり、体によくない。しかし、今のところ、一般的に健康状態はよく、寝たきりは約4%で、家族によって介護されている者が一番多い。また、男性の健康状態は女性よりも良く、北部地域に住む高齢者の方が、南部地域に住む者よりも良い。しかし、14%の高齢者が、運動機能測定に使った機能測定項目の一つも達成できなかったことは注目に値する。高齢者の病気は、主に高血圧と関節炎・リウマチ、心臓病等の慢性病であるが、医療施設が普及しているため、診察や治療にはこと欠かない。最近は、高齢者も老人福祉に対する認識が高まり、利用率も高くなった。余暇活動としては、TV・ビデオや親友訪問が盛んで、スポーツをする高齢者もかなり増えている。
高齢期に一番頼りになるのは、やはり配偶者で、その次が息子で、病気の介護や話相手になってくれる。しかし、老人が主に支援して欲しい人と現実の間にはギャップがあり、病気した時でも自分で処理しなければならない老人が多いことは、注意すべき点である。
高齢者の現在の生活に対する評価は、あまり悪くはないが、「不愉快だ」と感じているのは約14%で、そのうちの半数以上は身体状況が悪いためで、経済的原因も約5分1を占める。いかにして、高齢者の生活向上を図り、快適な高齢期をおくることができるかが、将来の大きな課題であろう。

 

 

 

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